6歳で知らない人とやり取りするケースも!子どものインターネット利用率とトラブル
子ども一人にタブレット一台が現実的になってきた時代
年々加速する情報化社会。ICT教育の推進で、子ども1人にタブレット端末1台という未来も現実的になってきました。スマートフォンやタブレットなど、インターネットに接続可能な機器が普及する中、インターネットの利用トラブルや犯罪行為に子どもが巻き込まれるケースも増加しています。
低年齢層の子どものインターネット利用率は4割近く
内閣府が2017年に調査した『低年齢層の子供のインターネット利用環境実態調査』では、0歳から9歳の子どもがスマートフォンやタブレット、パソコンや携帯ゲーム機など、インターネットに接続可能な機器の利用状況について公開されています。
- 子供の39.2%が、いずれかの機器でインターネットを利用。年齢が上がるとともに多くなっている。
- インターネットを利用する機器は、スマートフォン(19.4%)、タブレット(18.3%)、携帯ゲーム機(7.2%)が上位。
インターネットの利用率は年齢が上がるにつれて多くなり、6歳で45%、9歳になる頃には65.8%。インターネットを利用しなくても、機器の利用率なら、6歳で69.8%、7歳で80.4%となり、9歳では9割近くに。
2歳のインターネット利用率が3割近くという調査結果も見逃せません。物心つく前からインターネットに初めて触れる子どもが増えている今、インターネットを使う上でのマナーや注意事項の教育は必須となります。
ゲームや動画だけじゃない!知育や教育への利用も増えている
動画視聴やゲームといった娯楽に次いで、知育目的での利用も多いようです。一般的なスマートフォンやタブレットに知育用のアプリをダウンロードするだけではなく、近年は学習用タブレットの利用も増えており、娯楽のみならず、子どもの教育や学習に使うという利用方法が一般的になりつつあります。
- いずれかの機器でインターネットを利用する子供について、インターネットの利用内容を保護者に調査したところ、動画視聴(85.4%)、ゲーム(65.8%)、知育(言葉、数遊び等)(30.4%)が上位。
- 動画視聴は全年齢で多い。
- ゲームは年齢が上がるとともに多くなり、2歳から9歳では23.9%から81.7%の間となっている。
- コミュニケーションや情報検索は、7歳から利用割合が大きく増加。
6歳の子どもが『ネットで知った人とやり取り』するトラブルも
政府の調査では、低年齢層の子どもにインターネットを使用させる際には、目の届く範囲で使わせている保護者がほぼ100%という回答結果が得られています。それでもトラブルは完全には回避できないようで、2歳の8.7%が『知らないうちにメール等を送った』経験があり、3歳の3.4%が『知らないうちに課金した』経験があるなど、かなり低年齢の子どもがトラブルを起こすケースも見られます。
すべての保護者がもっとも心配するであろう『ネットで知った人とやり取りした』ケースは6歳で1.3%、9歳で2.3%の経験率。大人の目の届く場所でもこういったトラブルが発生しています。
保護者のインターネットに関する学習経験は?
保護者のインターネットに関する啓発や学習の経験は、テレビや本、パンフレットやインターネットで知ったという、独学に近い学習がもっとも多いようです。
- 保護者のインターネットに関する啓発や学習の経験は、「テレビや本・パンフレットで知った」(56.6%)、「インターネットで知った」(27.7%)が上位だが、6歳からは学校における説明や配布資料による認知割合が大きくなっている。
情報化社会の発展によって、トラブルも変化し続ける
インターネットに関する啓発や学習の必要性はすでに政府も認知しており、2008年に策定された「教育振興基本計画」の中でも地域、学校、家庭における情報モラル教育が推進されており、「教育の情報化に関する手引」検討案においては、学習指導要領上の「情報モラル」についてこのように記載されています。
具体的には、他者への影響を考え、人権、知的財産権など自他の権利を尊重し情報社会での行動に責任をもつことや、危険回避など情報を正しく安全に利用できること、コンピュータなどの情報機器の使用による健康とのかかわりを理解することなどの内容となっている。これらの内容は、情報社会の進展に伴って変化することが考えられ、今後も柔軟かつ適切に対応することが必要である。また、普及の著しい携帯電話をはじめとする携帯情報通信端末のさまざまな問題に対しては、地域や家庭との連携を図りつつ、情報モラルを身につけさせる指導を適切に行う必要がある。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/056/shiryo/attach/1249674.htm
ここにも記載のある通り、情報化社会の発展は近年めざましく、インターネット上のコミュニケーションスタイルやそれに伴うトラブルも、社会の変化とともに変わっていくと考えられます。新しい技術にすぐ対応できる子どもに比べて、保護者が単独ですべて把握するのは難しいでしょうから、学校や地域や家庭が協力しあい、最新の情報を取り入れた指導や教育が必要です。
家庭でできるトラブル防止策や教育
「児童生徒に身につけさせたい情報モラル」として、文部科学省「教育の情報化に関する手引」検討案にはこう記載されています。
情報モラル教育の内容は、次のように大きく2つに分けられる。1つは、「情報社会における正しい判断や望ましい態度を育てること」である。つまりは「心を磨く領域」として、自分を律し適切に行動できる正しい判断力と、相手を思いやる心、ネットワークをよりよくしようとする公共心を育てることが求められている。もう1つは、「情報社会で安全に生活するための危険回避の理解やセキュリティの知識・技能、健康への意識」である。健康への意識は、生活習慣の領域だが、昼夜逆転やネット依存など健全な生活を維持することへの悪影響がないよう適切な指導が望まれる。情報化が進み生活が便利になればなるほど危険に遭遇する機会も増える。危険を回避し安全に生活するための知識を身につける必要がある。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/056/shiryo/attach/1249674.htm
技術やコミュニケーションツールがどんなに変わっても、人とトラブルを起こすのは基本的には人ですから、例えば「知らない人と安易にやり取りをしない」「アプリのダウンロードは保護者の見ている前で行う」など、トラブル防止の基本的な対策や教育は、これからも変わりません。
前述の調査結果からもわかる通り、保護者の見ている前でもトラブルは起きる可能性がありますが、トラブルを完全には防げなくても、保護者が近くにいればすぐに対処できます。保護者が近くにいるというのが、一番手軽にできる防止策ではないでしょうか。
ある程度の年齢になると、保護者がずっと横で見ているというのは現実的ではありませんから、定期的に家族でインターネットやスマートフォンなど端末の利用方法について、話し合う機会を設けてみるのはどうでしょうか?子どもの意外なアプリ利用方法など、大人も勉強になることが多いはずです。
保護者が常に最新の情報を得ることも大切です。例えば、文部科学省と国家公安委員会が夏休み前に作成している啓発用リーフレットは、トラブル事例をわかりやすくまとめてあります。警察協会のサイトでは「インターネット利用に係る児童の犯罪被害等防止啓発動画」を見ることができます。(どちらも小学生以上の子どもを対象にしたもの)学校で配られる啓発資料などにも、しっかり目を通しておくとよいでしょう。
使い方さえ間違えなければ、知育や学習にも強い味方になるのがインターネットです。必要以上に怖がったり、毛嫌いしたりしていては子どものトラブルにも気づけません。まずは大人が正しい知識を身につけることが、トラブル防止にもっとも大切なことです。