グーグル創設者やアマゾン創設者を育てた教育法。藤井聡太七段で一躍脚光を浴びたモンテッソーリ教育とは?
名だたる天才たちを育てた教育メソッド
モンテッソーリ教育とは、20世紀初頭にマリア・モンテッソーリによって確立された教育メソッドです。100年以上も前に考案されたメソッドですが、今も非常に人気があり、海外ではかなりメジャーな教育メソッドです。
この教育が生み出した著名人は多く、特に、グーグル創設者セルゲイ・ブリンとラリー・ペイジ、アマゾン創設者ジェフ・ベゾス、マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ、ウィキペディア創設者ジミー・ウェールズなど、誰もが知る有名企業やサービスの創設者が目立ちます。
IT系の起業家だけではありません。イギリスのウィリアム王子とヘンリー王子やオバマ元アメリカ大統領、俳優のジョージ・クルーニー、女優のアン・ハサウェイ、歌手のテイラー・スウィフトやビヨンセなど、モンテッソーリ教育を受けたと言われている著名人の活躍分野は多岐にわたります。『アンネの日記』で知られるアンネ・フランクもこの教育メソッドで育った一人でした。
海外だけではありません。日本にもこの教育を受けた有名人がいます。2016年に前人未到の公式戦29連勝を達成した将棋界の風雲児、藤井聡太七段。モンテッソーリ教育を取り入れた幼稚園に通っていたことが、メディアでも大きく取り上げられました。
近年、日本でもモンテッソーリ教育の知名度は上がっており、取り入れる教育施設やご家族が増えています。日本では教育制度の都合上、幼児教育に取り入れられることが多いようですが、本来は小学校から大学まで取り入れることが可能な教育メソッドです。
どんな教育メソッドなの?
イタリア初の女性医師であるマリア・モンテッソーリは、感覚を刺激することによって知的障害児の知能が向上することを発見し、モンテッソーリ教育の前身である感覚教育法を確立しました。この教育を受けた知的障害児に知能テストを受けさせると、健常児以上の結果が出たと言われています。この研究結果は当時の医学界だけではなく、教育界にも大きな衝撃を与えました。
その後、さらなる研究によって確立されたモンテッソーリ教育は、「子どもには自分を育てる力がもともと備わっている」という考え方のもと、大人が押しつけるのではなく、子どもの自発的な活動を促す教育として、現代も数多くの天才たちを育てる教育メソッドとなりました。
モンテッソーリ教育の目的は、「自立していて、有能で、責任感と他人への思いやりがあり、生涯学び続ける姿勢を持った人間を育てる」ことです。その目的を達成するために、モンテッソーリは子どもを科学的に観察し、そこからえた事実に基づいて独特の体系を持つ教具を開発するなどして教育法を確立していきました。その教育法の確かさは、現代の大脳生理学、心理学、教育学などの面からも証明されています。
http://sainou.or.jp/montessori/about-montessori/
幼児期のモンテッソーリ教育
モンテッソーリ教育では、幼児期は0歳から3歳、3歳から6歳と2つの段階に分けられ、それぞれの段階に応じた教育環境を用意します。
前期である0歳から3歳までの時期には日常的な動きの中で全身や手指を動かすこと、音楽を聴いたり演奏したり、お絵かきや粘土遊びをするなど、感覚を育てる教育が中心。
計算などのいわゆる『お勉強』はないようですが、この時期は、発達段階に応じた言語教育も行っています。
後期である3歳から6歳までの時期は、引き続き感覚を育てていくとともに、日常生活においてできることは自分でやれるようになるための教育や、算数教育と文化教育が加えられます。文化教育とは社会科や理科に該当する分野の教育で、子どもが色々なことに興味をもつこと、また興味を持った分野をのばしていくことが目的のようです。
子どもは興味を持ったことは何度でも繰り返します。できたという達成感を得ることにより、さらに夢中になって、気づけば数時間…ということも少なくありません。成長によって使う教具や興味の対象が変わっても、そこで得られた集中力は他のことにも活かすことができます。モンテッソーリ教育が育てたい『生涯学び続ける姿勢』はそういったところから生まれていくのでしょう。
モンテッソーリ教育のデメリット
素晴らしい教育に思えるモンテッソーリ教育ですが、取り入れるデメリットはないのでしょうか?どんなメソッドにもメリット・デメリットはあるものです。前述のように、日本においては小学校以降の教育にモンテッソーリ教育を取り入れるのが難しいため、多くの子どもは、小学校以降は自主性をよしとする教育を受けることができなくなってしまいます。実際、環境の変化に戸惑い、孤立してしまう子どももいるようです。
ただ、今後予定されている教育改革が進み、日本の教育が自主性を重んじる方向に変わっていけば、そのギャップはいずれなくなっていくでしょう。
また、自主性を重んじる教育がゆえに、協調性が育たないのではという懸念も聞かれます。こちらは協調性を育てるプログラムもあるそうなのでご安心を。ただ、モンテッソーリ教育は取り入れている幼稚園や保育園によって方針や手法がそれぞれ異なるようなので、子どもを入園させる前にしっかり確認しておきましょう。
その他、わがままになるのでは?屋内でのプログラムが多いため、外遊びが好きな子には辛いのでは?と言った声もあるようです。わがままになってしまうようであれば、家庭でしっかりフォローすべきですし、外遊びに関しては、外で遊ばせる時間を設けている園もあるようです。
幼稚園や保育園でモンテッソーリ教育を受けさせておけば家庭では何もしなくていいというわけではありません。自立した子どもを育てるためには、大人のサポートが不可欠ですし、家庭においては、サポートする大人の役割は親が担うのは当然のことですね。
検討しているなら見学や問い合わせは必須
モンテッソーリ教育を取り入れている幼稚園や保育園は日本国内でも多数。しかし、導入している園すべてをリストアップしている団体や企業はないようです。また、モンテッソーリ教育をどのように取り入れているかも教育施設によって異なるため、興味を持った園があれば、直接問い合わせや見学をしてみてください。