タブレットを導入、でも「活用できていない」が4割以上...家庭でできるICT教育とは?
ICTの教育への活用、その現状
2020年の教育改革に向けて、話題になっているのがICT活用。旺文社の調査によると、2018年3月の時点でタブレット型PCを1台以上導入している高校が3割を超えるなど、環境の整備は着々と進んでおり、『生徒1人に1台タブレット端末』時代はもう目の前に来ています。
ただ、せっかく整備されつつある環境をじゅうぶんに活用できているかと聞かれると、まだまだと言うのが実際のところのようです。
タブレット型PC導入校に端末の活用状況について調査したところ、導入校の44.9%が「活用できていない」と答えています。なかでも、課題として挙げられた回答は、昨年度に引き続き、「教員の活用スキルの引き上げ」が最も多い結果となりました。
(旺文社の調査:https://www.obunsha.co.jp/news/detail/509)
教える側のスキルが追いついていないという意見が多く、教員への教育がじゅうぶんではない現状には不安を覚えます。
ICT教育のトラブル例:佐賀県
佐賀県はIT教育の推進に熱心で、県立高校の生徒一人一台タブレット導入が話題になったことでも知られる県です。平成29年の調査では『教育用コンピュータ1台当たりの児童生徒数』『普通教室の電子黒板整備率』『普通教室のLAN整備率』それぞれで全国1位となり、「インターネット接続率」や「無線LANの整備率」、「教員のICT活用指導力」や「研修を受講した教員の割合」でもすべての項目において上位にランクインしています。
現在の環境は申し分のないIT推進県に見える佐賀県ですが、県立高校へのタブレット端末導入直後は、生徒が授業中に電子教材をダウンロードしたところ、授業時間内にダウンロードが終わらないトラブルや、端末立ち上げ時のログイントラブルなどが起こり、全く授業ができない状況が相次いだため、ネットでも「タブレット授業は不要なのでは」「佐賀のICT活用は失敗」などと話題となりました。
参考:政府統計『学校における教育の情報化の実態等に関する調査』
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00400306&tstat=000001045486&cycle=0&tclass1=000001118500&tclass2=000001120775&second2=1
トラブルの原因
タブレットの機種が当初予定されていたものと異なったために、テスト時にうまくいっていたものがまったく機能しなかったようです。また、教員の教育が行き届いておらず、デジタル機器の操作方法やネットワーク設定などの知識もじゅうぶんでないため、トラブルが起きたときに迅速に対処できなかったというのも一因でした。
佐賀県の場合は、それに加えて家庭に対するタブレット購入の費用負担が5万円と高額だったことも問題になりました。
これは高校での導入の際のトラブルではありますが、今後ICT教育が小学校、幼児教育に取り入れられる際にも注意しなければいけない事例と言えるでしょう。
佐賀県はこの失敗を踏まえ、県立高校の2018年度以降の新入生にはPCを無償貸与する方針に切り替え、教員のさらなるスキルアップや、効果的な活用方法を学校間で共有するなどの改善を行っていくとしています。
もっとも大切なのは教員の教育
ICT教育においては、タブレット端末の台数やスペック、ネットワーク環境はもちろんですが、教える側のスキルを一律、一定水準にすることがもっとも重要になります。学校によって、教員の教育レベルが大きく異なってしまうと、教育格差が広がってしまうだけだからです。
家庭でできるICT教育
教員のスキルアップや学校内の環境に関しては、残念ながら家庭でできることはありませんが、家庭でICT教育の基礎を作ることはできます。端末の操作くらいは入学前に知っておいた方がいいですから、まずはスマートフォンやタブレットに慣れさせることから始めてみましょう。
幼児期はまず、スマートフォンやタブレットに慣れさせる
子どもはスマートフォンやタブレットが大好きです。特別なことをしなくても興味を持ってくれます。「子どもが勝手にロックを解除してゲームしていた」なんて話もよく聞きますね。覚えが早いのも子どもの特長。慣れるのもあっという間です。
泣き止ませるためや夕飯を作る時間など、少し子どもに静かにしてほしい場面で動画やゲームアプリを使ったことのある親は非常に多く、スマートフォンやタブレットを育児に活用することはすでに当たり前になりつつあります。
学習アプリを使ってみる
端末に親しむことができれば幼児期のICT教育はじゅうぶんなのですが、そこから一歩進めたいなら、ただのゲームではない、幼児向けの知育アプリや学習アプリを使ってみるのはどうでしょう?小学校に入る前に予習できる学習アプリもありますから、そういったものを試してみるのも良いでしょう。
アプリの安全性など、ダウンロードにあたっての基本的なことは親が判断するとしても、実際に触って学習する本人が楽しんで続けられる学習アプリを選定しましょう。
『子どもが興味を示す教具で遊ばせる』というのは、主体性を育てる教育において基本とされる方法のひとつなので、色々試して、子どもが夢中になれるアプリを探してみてください。親が押し付けてやらせる受け身の学習より、子どもが自主的に楽しみながら学べる学習の方が効果が高いのは当たり前ですよね。
今後のICT教育
ICT教育に関しては賛否両論あり、うまく使えば結果は出るものの、現状の教師の教育不足などを原因にあげ、効果が見込めないとする反対意見もあります。佐賀県の例もある通り、導入当初からトラブルや混乱が全くなくスムーズに授業ができる環境は期待できないと思っておいた方が良さそうです。
加速する情報化社会において、今後の教育がICT活用を避けて通ることはできないため、学校でも家庭でも、教育へのICT活用は必須となるでしょう。