『自分で考える力』が身につく!自主性・主体性を育てる、世界の教育メソッド6選

2018/11/13

自主性、主体性を育てる教育メソッドとは

詰め込み型の英才教育や、早期英語教育など、色々な教育方法がブームになりましたが、最近のトレンドはなんといっても『子どもの自主性・主体性を育てる』教育。

幼児期は好奇心いっぱい、脳の成長速度が最高の時期だと言われています。この大切な時期に『自分で考える力』を伸ばすことで、子どもの才能や個性を最大限に発揮できるようになることが期待されています。

子どもの自主性・主体性を育てる教育メソッドとしては、藤井聡太七段で話題になったモンテッソーリ教育が有名ですが、世界には他にもたくさんの教育方法があります。

カリキュラムがなく子どもが自ら学びのスケジュール管理を行ったり、子どもが興味を示す教具を選ばせたり、と方法は様々。

ここでは、世界で実践されている、『子どもの自主性・主体性を育てる』教育方法を6つご紹介します。

世界の教育メソッド6選

  1. モンテッソーリ教育/イタリア
  2. ドルトン・プラン(ダルトン・プラン)/アメリカ
  3. フレネ教育/フランス
  4. シュタイナー教育/オーストリア
  5. ピラミーデ(ピラミッド・メソッド)/オランダ
  6. フィンランド式教育/フィンランド

1.モンテッソーリ教育/イタリア

藤井聡太七段が受けていた教育として一躍有名になった教育メソッド。名前だけは知っている、という方は多いでしょう。この教育メソッドを受けたことが知られている有名人は他にも、Google創始者のラリー・ページ、セルゲイ・ブリンや、Amazon創業者のジェフ・ベゾス、Facebook創業者マーク・ザッカーバーグ、俳優のジョージ・クルーニーなど、そうそうたる顔ぶれです。

子どもは『自分を育てる力』を持っている

もともとは20世紀初頭のイタリアで、ローマ大学で初めての女性医学博士であるマリア・モンテッソーリが考案した教育法。

モンテッソーリが知的障害児に用いた教育法が効果を上げたのが始まりですが、その後、1907年に設立した貧困層の健常児向けの保育施設「子どもの家」で、モンテッソーリ教育のメソッドが確立されたと言われています。

モンテッソーリ教育は、子どもに「自分を育てる力」が備わっているという考え方を軸にしています。その力を存分に発揮するため、必要な環境を子どもに用意することを大切にしており、基本理念は「子どもに自発的な活動を促し、成長させること」です。

モンテッソーリ教育の学習環境

子どもが興味を持った教具を自由に選ばせ、その日する勉強は子どもたち自身が決めるという、自主性重視の学習環境で、先生はあくまでもサポート役。ですが、自主性だけでなく協調性や社会性を身につけるため、子どもたちは異年齢混合のクラスで学びます。

2.ドルトン・プラン(ダルトン・プラン)/アメリカ

2019年4月に、ドルトン・プランを実践する日本で唯一の中高一貫校、『ドルトン東京学園中等部』の開校が決定したこともあり、近年注目を浴びている教育方法の1つです。

100年近く前にアメリカで生まれた教育メソッド

もともとは1920年代、アメリカのマサチューセッツ州ドルトンの小学校においてヘレン・パーカーストにより指導、実施されたのがはじまりです。ヘレン・パーカーストはモンテッソーリ教育やジョン・デューイの思想の影響を受けており、モットーは『自由』と『協同』。

子どもが勉強に没頭しているときは妨害せず必要なだけ時間を与え、子ども一人ひとりに対して最適な速度で学ばせる『自由』と、協調性を育てるために集団の中のひとりとして行動させる『協同』の2つの原理で、子どもの独立心や責任感などをバランスよく育てていきます。

3つの柱で子どもの学ぶ力をサポート

2つの原理を支えるのが『ハウス』『アサインメント』『ラボ』の3つの柱。
『ハウス』…教室は家のようにリラックスできる環境であるべきという考え方から、教師は指導者というよりもアドバイザーとして、子どものコミュニティづくりをサポートします。
『アサインメント』…宿題のこと。ただ、先生から一方的に与えられる宿題ではなく、あくまでも生徒と先生の間の約束ごととしての宿題であること、子どもの学びたい欲求をかきたてるため、量は少なめのようです。
『ラボ』…専門の先生と1対1でコミュニケーションを取りながら学んでいきます。

日本の幼児向けドルトン・プラン教室では、たくさんの教具の中から、子どもが興味を持ったものを遊ばせて学ばせたり、室内だけではなく外に出かけたりするプログラムもあるようです。「子どもが興味を持って学ぶことを邪魔せず、全力でサポートする」という姿勢の教育メソッドです。

3.フレネ教育/フランス

公立学校の教師、セレスタン・フレネが考案した教育メソッド。こちらもモンテッソーリ教育と同じ、異年齢混合のクラスで学びます。個別の学習計画を立て、自習に必要なさまざまな工夫をこらした教材がたくさん用意されています。

自由作文と最先端の技術

日常的に作文を書くというのがフレネ教育の特徴の1つ。子どもの目線で自由に書かれた作文を学習の教材として使います。投票で選ばれた作文は、当時としては最先端であった印刷機で印刷され、ほかの学校との交流にも使われました。

最先端の技術を取り入れるという精神は現代のフレネ教育にも生きており、現在はPCやインターネットの使用も認められているようです。

個別と協同

異年齢混合のクラスで学び、それぞれのペースで自習しつつも、ほかの子どもたちと教えあい、協力しながら学びを進めていきます。フレネ教育では学校運営も子どもたち自身で行うため、子どもたちは自分たちで憲法を作り、クラスの自治を守ります。

4.シュタイナー教育/オーストリア

本来はルドルフ・シュタイナーが提唱したヴァルドルフ教育というのが正式名称のようですが、日本ではシュタイナー教育と呼ばれています。近年では俳優の斎藤工が幼少時に受けていた教育として脚光を浴びました。

育児雑誌でわかりやすく紹介されたことがきっかけで、日本でも有名な教育メソッドとなりましたが、本来は非常に難解な、シュタイナーの人智学における思想に基づいて作られたメソッドなので、一部で「テレビは見せてはいけない」「カーテンはピンクにすべき」などの曲解や誤解も多い教育法だとも言われています。

長期的な視点で子どもを育てる

シュタイナー教育では、人間は7年ごとに成長の節目を迎えるため、それぞれの段階に対して適切な教育が必要だと考えられています。7歳までは体で理解することが大切なので、体と動き中心の教育となります。

異年齢混合、芸術重視

幼稚園では異年齢の縦割りクラスで学びます。早期知的教育は行わず、絵や詩、歌などの芸術活動から学ぶ方式をとっています。芸術には「正解はない」ため、自分で考えて行動することで、自主性が育つという考えです。

オーガニック信仰、自然派の教育というイメージが強いシュタイナー教育ですが、それはシュタイナー教育の一部分であり、本質ではないとする意見もあります。シュタイナー自身が「私の言葉を鵜呑みにせず自分で考え、実践するように」と発言しているように、人智学の本質を理解し、現代に合わせてアレンジしていくことが必要でしょう。

5.ピラミーデ(ピラミッド・メソッド)/オランダ

ユニセフが発表した子どもの幸福度調査で、オランダが一位に輝きました。学校生活に満足し、幸せを感じている度合いが高いオランダの子どもたち。彼らが受けている教育が、ピラミーデ(ピラミッド・メソッド)です。

ピラミーデとは

ピラミーデは、教育心理学博士フォン・カルクが開発し、Cito(オランダ政府教育評価機構)がオランダ国内に向けて提唱した教育メソッド。「子どもが自分で選択して決断できる力」を育てることに重きをおいた教育法です。じゅうぶんな養護のもとでこそ、子どもの主体性が育まれるという考えから、子供の主体性だけでなく、保育者の主体性や寄り添うことも大切にしています。

もともとはピラミッド・メソッドと呼ばれていましたが、国際共通名がピラミーデに決定しました。ドイツやアメリカでも導入されている教育メソッドです。

子どもだけでなく保育者の主体性も育つメソッド

メソッドの柱は「子供の主体性」「保育者の主体性」「寄り添うこと」「距離をおくこと」の4つです。子どもだけでなく保育者の主体性も育まれる教育メソッドだとも言われています。一人ひとりの子どものペースに合わせてプログラムは進められますが、他の子どもと共同して学ぶため、小学校までに身につけたい基礎的なスキルを幼稚園のうちに学ぶことができます。

Cito(オランダ政府教育評価機構)とは?

1968年にオランダ政府により設立された、欧州最大の教育評価機構。1999年に民営化しています。オランダの小学生85%が利用する「End of primary school test」というテストが有名で、子どもたちの習熟度を調べています。

オランダでは設立、理念、教育方法の自由という教育の3つの自由が憲法で定められており、先に紹介した、モンテッソーリ教育やシュタイナー教育、ダルトン・プラン、フレネ教育などを実施している学校も自由に選択できるようになっています。

6.フィンランド式教育/フィンランド

1960年代は日本と似たような知識重視型教育を実施していたというフィンランド。教育改革を行い、現在では「実践して学んだ方が身につきやすい」という考えのもとに、「遊んで学ぶ」方式に切り替えられています。その結果、世界の児童を対象とした学力測定では常に上位ランクイン。学力に関する指標に絞れば、フィンランドが世界でもっとも学校システムが優れているというランキングもあるようです。
http://uk.businessinsider.com/wef-ranking-of-best-school-systems-in-the-world-2016-2016-11/

競争せず、自主性を育てる

全国共通テストがなく、競争が少ない環境の中で、「競争せず、自主的に学ぶ力を育てる」というのがフィンランド式。アクティブラーニングを取り入れた、自由な授業スタイルが特徴です。

「遊んで学ぶ」教育方針

フィンランドの幼稚園では、「自由に遊ぶ」「教育方針に則った、指導を伴う遊び」の2つで子どもたちに教育を行っています。指導を伴うと言っても、強要するものではありません。あくまでも子どもたちが遊びの中で、喜びをもって学ぶということを大切にしています。

最先端の試みを常に行う

2014年度には中学3年生全員にiPadを無償配布したり、2016年度からは小学校のプログラミングの授業が必修化されたり、時代の変化に柔軟に合わせるのもフィンランド式。古いやり方に固執しないところは、日本も見習ってほしいですよね。

子どもの自主性・主体性を育てる教育メソッド

こうして見てみると、子どもの自主性や主体性を育てることで定評のある教育メソッドには、共通点があることがわかります。「子どもの好きな教具を選ばせ、自主的に学ばせる」「集団の中で社会性や協調性を身につける」というのが主な共通点でしょうか。

特に「子どもが選んだ好きな教具で遊ばせ、それを邪魔しない」というのは、これまでの詰め込み型の教育では全く見られなかった手法のように思います。けれど、子どもが興味を持った教具で遊び学ばせることで、自主的に楽しく学習してくれる、というのは考えてみれば理にかなっていますよね。

メソッド自体は古くに確立されたものが多いにもかかわらず、時代の流れに合わせてPCやインターネット、タブレットやプログラミング教育なども取り入れている教育法も多いです。2020年度には、新学習指導要領が小学校で全面実施され、大々的な教育改革が行われる日本では、柔軟に時代の流れに学習方法を合わせていく姿勢こそが、今、一番求められているのかもしれません。